アナロジー思考
いわゆる類推思考の重要性、方法について記載されている本。 エンジニアの世界でも、新しい技術をキャッチアップする時に大切であるので読んでみた。
memo・感想
アナロジー思考とは何か?
アナロジー
- 類推・推して測ること。
- 仮説立てに有効
- 必ずしも真実・妥当な結論には至らない点に注意
なぜアナロジー思考が必要なのか??
- 自分の理解を促進するため
- 新しいことを理解する時に、既に知っている知識から類推して理解する
- 他人への説明のため
- 相手の知っていることから類推できるように説明してあげることで、理解してもらいやすくなる
- 新しい発想のため
- 今あるもから、組み合わせから類推して新しい発想を生み出す
アナロジーのステップ
- 抽象化・一般化
- 構造・関係の明確化
- 共通点と相違点の明確化
抽象化
-
一般化
-
単純化
-
構造化
-
抽象化することで、遠くのものとの類似性に気がつくことができる
- 犬・人間
- どちらも哺乳類
-
つまり、抽象化することで、一見関連しない分野の知見を使って類推・理解の促進ができる
- ただし、あくまで違うもの同士ではあるので、相違点も理解すること
抽象化するために
- 図解してシンプルに表現する
- 極論、二項対立で考える
- 幹となる理論が見えてくる
- 格言・たとえ話を知る
- 格言は抽象化した言葉
- 美しくする
- 抽象的に構造化されているものは美しい
注意点
- 抽象化だけだと机上の空論になる。具体的な方法に落とし込んでようやく実践的な解決策になる。
- 具体的な方法に落とし込むときもアナロジーを使う。既に経験している具体的な方法を抽象化し、今回の事象に落とし込んでいく
具象は問題を創造し、抽象は問題を解決する
- 問題は具体的なところから浮かび上がってくる。
- それらを解決する構造的な解決策を抽象化して考える
- 一つの具象を解決して終わらないように
つなげて考える
- その知識が、他に転用できないか?つなげることができないか?共通点・相違点は何かを考える
アイデアマンと雑学博士
- アイデアマンは、多様な知識・経験を、今ある課題・事象につなげて考えることができる
- 雑学博士は、多様な知識・経験があるだけ
ここの雑学博士とアイデアマンの違いは特に、納得した。特に、新しい分野を学ぶときはとにかく知識をインプットだけしがちなので、雑学博士にならないように気をつけなければ。。
遊ぶことの重要性
- 遊びと仕事、理解が深い方の考え方・経験を、理解が浅い方に転用できる
- 一見関係がなくとも、抽象化して転用できる
- スポーツによるチームプレーの経験、ゲームのスキル上達の練習方法など
一芸に秀でると、他の分野でも秀でる
- その領域での経験・知識を抽象化し、他の分野に転用することで、理解が早くなる。
- また、完結した一つの世界を作り上げる方法論を確立しているため、他の領域でのキャッチアップが早い
- まずは一つの分野を深く理解する。
- その時に、他の事象に転用するとしたら?抽象化するとしたら?を考え続ける。
わかる。あと一定の分野の達人になると、抽象的には大体同じような哲学を持っていたりする点も面白い。 エンジニア視点では、一つの技術・言語に詳しい人が、他の技術・言語のキャッチアップも早いのと同じだと思った。
アナロジー思考を鍛えるために
- 日常・身の回りのことをつなげて考える。自分ごと化する。
- XXXの経験・知識が他の分野で役に立たないか考える
- 何かについて深く考える・悩む
- 違う角度・抽象化された事象がそこへのピースになることがある
- 「これは違う・特別だ」と思わない
- 全てのことを関係させる。
- 常に抽象化して共通点を探す
- ある事象の特殊性自体も、抽象化すると別の分野の特殊性と同じになるかもしれない
ある特殊な事象について「特別だと思わない」という考えはなかったので、良い発見だった。外れ値的な事象は、ついつい類推・抽象化の対象から外しがちなので気をつけねば。
感想
具体・抽象を行き来して考えること自体は意識していたが、いくつか自分に足りていない視点が得られたので勉強になった。 あと改めて、「何か一つの分野に精通しておく経験」って大事だなと思った。ついついいろんな新技術・言語に手を出してしまいがちなので。やっぱ自分のベースになる一つの言語を一回極めよ。 まぁもちろん、思考の幅・知的好奇心を満たすために他の言語も触ったりはすると思うけど。思考ベースになる言語は一つ作っておきたい。